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電子足跡:下田街道歩き 
 湯ケ野~浄蓮の滝 天城越え


プロローグ


下田街道を湯ケ野から浄蓮の滝まで旧天城トンネルを越えて歩いたページです。
旧下田街道は三島と下田を結ぶ主要な街道で天城を越えるには二本杉峠越えと天城峠越えがありますが,このページは天城越えのルートです。


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湯ケ野には若き川端康成が投宿した福田屋が現存しており,ここに宿泊した数日間の体験を中心に伊豆の踊子を執筆したと言われています。
湯ケ野からは踊り子遊歩道として整備された渓流沿いの旧下田街道が続いています。途中河津七滝ループ橋を見上げ,観光地としても有名な河津七滝を通り旧天城トンネルに向かっています。旧天城トンネルは石組みのトンネルですが,現代のコンクリートのトンネルと異なり重厚で趣があります。

旧天城トンネルを越えて北側に出ると,伊豆の踊子の書き出しにあるつづら折りになった道が続いています。水生地下からは本谷川沿いの昔のままと思われる旧道が続いています。川のせせらぎが聞こえる森林の中を歩きます。

浄蓮の滝は「天城越え」の歌詞に出てくる滝です。柱状節理を割って流れ落ちる滝は清冽です。

「伊豆の踊り子」,松本清張・石川さゆりの2つの「天城越え」そして幕末は護送される吉田松陰,江戸に向かうハリス。歴史,小説,音楽と色とりどりなエピソードに彩られた道を風景を楽しみながら歩くのは贅沢な時間です。

道の一部は山道なのでソールがしっかりした靴を履いた方が良いと思います。

日にち 2014年3月19日
コース  伊豆急行河津駅-バス-湯ケ野-河津七滝-河津川上流-旧天城トンネル-本谷川沿い-浄蓮の滝-バス-伊豆箱根鉄道駿豆線修善寺駅
天候 快晴
移動距離 20㎞
所要時間 8時間

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天城越えルート 湯ヶ野から浄蓮の滝

↑GPSログをGoogleEarthで
ツアーする方法

↑地理院地図(電子国土web)に詳細ルート地図とポイントの写真が開きます。
 
↓文字をクリックすると詳細ページにジャンプします。
下田街道湯ケ野から浄蓮の滝天城越え地図 踊子歩道全体図案内板 下田街道湯ケ野から浄蓮の滝絵図

カシミール3D   国土地理院
上の左の地図はカシミール3DでGPSデータを国土地理院地形図上に描画してそのイメージデータを加工したものです。


河津桜


河津駅から修善寺行きのバスに乗り河津川沿いに湯ケ野を目指します。
河津川両岸は早咲きで有名な河津桜が咲き誇るのですが3月19日では少し遅かったようで車窓から桜を見る事は出来ませんでした。
写真は1年後の2015年3月7日に再び訪れたときのものです。
その日は風がまだ少々冷たかったのですが,濃い桜色が両岸に続き,屋台が並び,多くの人達が笑いながら過ぎて行く道は寒い冬がもう終わると感じさせてくれました。

湯ヶ野  踊り子の宿(旅館 福田家)


湯ヶ野のバス停を降り河津川に向かって下ると対岸に福田屋があります。
川端康成がここに宿泊した数日間の体験を中心に伊豆の踊り子を執筆したとの事です。
福田屋の北側の奥まったところに川端康成の文学碑があります。踊り子遊歩道の起点です。
橋を戻り河津川の東岸を遡ります。


河津七滝(だる)へ


福田屋を後にして少し行ってから河津川を渡って支流の小鍋方向に行きます。
案内板を見て旧天城トンネル方向を目指します。トンネルまでは10kmです。



苔むした道の傍らに石仏や道祖神があり旧街道の雰囲気が漂います。
若き川端康成や,その時は未来にどれだけ影響を与えるかも知れない護送中の吉田松陰も同じ石仏を見たのかと想像を広げます。こんな風景を目にした時に空間を移動しているだけなのに時間を遡る旅をしている感覚になります。

「旧天城街道梨本宿  てつぽう」と書かれた門柱。この地区は宿場だったのかと気が付きます。


・民家の様ですが道路沿いに鬼瓦が並んでいます。
・大日如来,無量仏塔,納経供養塔と書かれた石塔群。詳しいことは分かりませんが元々はそれぞれ別の所に有ったものを集めたようです。いずれも江戸時代のものとの事です。
・河津七滝ループ橋。 以前車でループ橋を通った事があります。フロントガラス越しに遠くから見えたとき一瞬なんなのか?と 思った事を覚えています。半径40mのループを旧街道から見上げるとその大きさと威圧感に驚きます。


河津七滝


ループ橋を超えると河津七滝に入ります。旧街道沿いは観光施設が並び少し賑やかな感じがします。
河津では見れなかった河津桜が満開で出迎えてくれました。
 

出会滝
・出会滝の吸い込まれるようなコバルトブルーの滝つぼ。コバルトブルーの水面は見飽きる事がありません。と言いつつ,時間が無いので先を急ぎます。
 
・滝の周辺は柱状節理が観察できます。火山の半島なのだと再認識します。右の写真は柱状節理の断面を上から見た写真ですがこんなに綺麗な六角形をしているのを見たのは初めてです。霜柱も六角形 微細なものから大きな柱状節理まで同じ六角形の構造だと思うと不思議な感じです。そう言えばベンゼン環も六角形でした。



初景の滝
初景滝の流れ落ちる轟音が体を振動させるようです。でもジェット機など機械の轟音と違い不快ではなく何か底の方から気力が沸いて来る様な音に聞こえます。
初景滝は観光客が大勢シャッターを押しています。「踊り子と私」の像のところで中国人観光客が記念撮影しています。
大きな声で話し,大きな声で笑い飛び切りの明るさです。


河津川上流 蛇滝-水垂駐車場-宗太郎杉林道-わさび田-国道414


蛇滝

蛇滝を過ぎ更に遡上しようと思いましたが遊歩道が安全確認中との事で通行禁止になっていました。
(2014/3/19時点)
仮設の歩道が尾根に沿って上に伸びています。
渓流沿いに歩けないのでエビ滝,釜滝を見る事が出来ず水垂駐車場に向かい駐車場から本来の遊歩道に入ります。

宗太郎杉林道


わさび田 あの強烈な辛さのわさびが清らかな水で育つというのは意外な感じがします。


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渓流沿いに人ひとり通れる程度の細い山道を進みます。 
端を通る事も出来ない狭い橋を渡って急勾配を登ると旧天城トンネルに続く旧国道414号線に出ます。


踊り子歩道案内板
 ↓クリックすると大きなサイズが開きます。道が分かりにくいので参考にしてください。
 (2014年3月19日時点では一部通行禁止部分がありました。)
下田街道踊子歩道案内板

国道414号線    旧天城トンネルへのアプローチ

急登が終わると国道414号線に出ます。砂利道ですがそれ程歩きにくいという事はないです。
これまで歩いて来た林道と比べると傾斜も緩く明るく開放的な感じがします。

伊豆の踊り子では「湯ケ野までは河津川の渓谷に沿うて三里余りの下りだった。峠を越えてからは,山や空の色までが南国らしく感じた。」と描写されています。


 二階滝       日本の道100選の碑


旧天城トンネル


1904年完成の総切石組み造りのトンネル。[道隧山城天]右書の銘板が歴史を感じます。





伊豆の踊り子では
「暗いトンネルに入ると,冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた。」明るい陽射しを予感させる描写です。

そして現代。恋人どうしが天城トンネルを越えて行きます。

下田街道旧天城トンネル(隧道)

つづら折りの道

あまりにも有名ですが伊豆の踊り子の書き出しは
「道がつづら折りになって,いよいよ天城峠に近づいたと思う頃,雨脚が杉の密林を白く染めながら,すさましい早さで麓から私を追って来た。」

松本清張の天城越えは「山を向こうに越えたら,自分の自由な天地がひろびろと広がっているように思えた。」
・・中略・・トンネルを通り抜けると,別な風景がひろがっていた。 ・・中略・・ 山ひだの裾にとりついている小さな人家の集まりも,私には見たこともない厳しさで映った。」とあります。

作者は異なりますが同じ場所を同じ様に厳しい場所として描写しています。そして峠を越える事で状況が反転する様に描写しています。


そしてトンネルを越えて直ぐ,これまでのうららかな陽光が一転して残雪が現れました。
小説の描写と現実の風景が見事にオーバーラップした感じです。
この先,数分間沢を登った所に天城越えの舞台になった氷室があったとの事です。

 天城トンネル北側のつづれ折りの道。        伊豆の踊り子文学碑


伊豆の踊り子は学生の頃読みました。伊豆の踊り子から引用した上記3つの描写は
学生の頃は「つづら折りの雨」も「トンネルの雫」も「峠を越えてからの風景」も単に風景描写と思っていました。
今読み返すとこれから起こる作者の心情変化を予感させる心象描写になっていると気が付きました。
歳を重ねて読み返すと初めて読んだ小説のような新しい発見があります。

本谷川沿いの旧道

この道は浄蓮の滝上流の本谷川沿いを歩く道です。
旧街道が良く保存されていにしえの旅人になったような感じになります。

踊り子遊歩道案内板  (水生地下(すいせいちした)から浄蓮の滝まで)

 ↓画像をクリックすると大きな画像が開きます。
下田街道踊子歩道案内板

水生地下の駐車場から本谷川へ
ここから滑沢渓谷出会いの所まで約3kmほど当時を偲ばせる旧道が続きます。

 
花同士が話し合っている様に見えるかな・・?


 火山弾?     滑沢渓谷出会い。左側の階段から上流に向かって旧道が続いています。


井上靖の文学碑 滑沢渓谷出会いの橋を渡ったところにあります。

似たような写真の連続ですが,観光地の風景が「点」の風景ならばトレイルを歩く風景は「線」の風景です。
少し暗い道でしたが本谷川のせせらぎを聞き,箸が転がっても可笑しい年頃の踊り子が些細な会話で明るく笑いながら歩いたのかな,などと想像したら,爽やかな気持ちになりました。

里山の道


滑沢渓谷出会いを過ぎるときれいに植林されたアスファルトの道になります。
道の駅「天城越え」を過ぎたあたりから人家が増えてきます。道路沿いの水路に綺麗な水が流れています。子供の頃田舎の親戚の家に行くと家の前の水路で炊事の準備をしていました。
この水路もかつては子供を背負ったお母さんが炊事の準備をしていたのかな・・・
水路の水を使って炊事をすることは不便だったかもしれませんが自然に恵まれた豊かな時代だった様に思います。
 


浄蓮の滝


いよいよ本日の終点。浄蓮の滝です。ここからバスで修善寺駅にむかいます。
長距離歩いたことがある方は経験があるかもしれませんが,歩いていると突然頭の中で音楽が鳴り続ける事があります。今回は勿論「天城越え」が鳴り続けました。ときどき「津軽海峡冬景色」も鳴りましたけど。





エピローグ


私がミーハーである事を暴露する様な話なのですが、学生の頃、山口百恵さん主演の伊豆の踊子が公開されていました。映画を見た訳ではないのですが、文庫本で小説を読み、同じ道を歩いてみようと思って,そのままになっていた道をようやく歩く事がが出来ました。
その後、歳を経て、TVで吉永小百合さん主演の伊豆の踊子を見た事があります。淡い恋心を描いた映画は爽やかに吹き抜けるそよ風の様に忘れかけている気持ちを思い出させてくれました。

浄蓮の滝からバスに乗り修善寺に向かいます。今日の行動はこれで終わりです。
次は小鍋峠越えです。


END

2018/12/29 一部レイアウト変更および一部追記
2018/12/20 ver5.17.0 ポップアップで起動する地図をGoogleMapから地理院地図(電子国土web)に変更
2016/01/09作成

Column


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