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電子足跡:初秋の尾瀬を歩く
鳩待峠から尾瀬ヶ原、尾瀬沼を通り三平峠を越えて一ノ瀬休憩所まで

プロローグ

このページは草紅葉が始まった初秋の尾瀬を 鳩待峠 → 尾瀬ヶ原 → 段小屋坂 → 尾瀬沼 → 三平峠(尾瀬峠) → 一ノ瀬休憩所 のルートで歩いたときのページです。

2024年初秋、10月2~3日の2日間 大学の同級生4人と尾瀬を歩きました。
卒業後はそれぞれの道を進みましたが、二十歳前に知り合いこれまでズット付き合いが続いています。50歳を過ぎた頃から、年1回お互いの健康状態と生存の確認のために集まっています。
4人とも既に仕事はリタイア―して自分の時間だけはタップリあります。4人のうち2人は百名山を登り終わっている山のエキスパートです。今回はそのうちの一人 S君の発案でした。

1日目は上越新幹線上毛高原駅で待ち合わせ、車で来た同級生の車で戸倉まで行き、戸倉からはバスで鳩待峠へ。鳩待峠から山ノ鼻、尾瀬ヶ原を通り見晴(十字路)まで歩き第2長蔵小屋泊でした。

2日目は第2長蔵小屋から沼尻平、尾瀬沼の畔を歩いて尾瀬沼東岸、三平峠、一ノ瀬休憩所まで歩いて、後はバスで戸倉の駐車場まで戻りました。
学生時代からの付き合いですので、下山後は老神温泉で下山祝いをした事は云うまでもありません。

準備した衣類:
10月初旬で標高1500mくらいですので寒さ対策として以下の衣類を準備しました。

ベースレイヤー  :速乾性ジップネック長袖シャツ
ベースレイヤー  :ウールジップネック長袖シャツ(着替えを兼ねる)
ミッドレイヤー  :薄手ウールの山シャツ
アウターレイヤー:薄手のフリース
レインウエア    :ゴアテックスのレインスーツ
パンツ          :速乾性 ×2
ズボン          :中間的な厚さのズボン
ズボン          :かなり薄手の体操ズボン(部屋着として使用)
手袋            :ゴアテックスの薄手の手袋
靴下            :厚手ウール  ×2

天気が良かった事もありますが、行動中は暑いくらいで、薄手ウールシャツは途中で脱ぎ、速乾性ジップネックの長袖シャツ1枚で歩きました。薄手のフリース、手袋を行動中は使う事はありませんでした。
夕方~朝方は肌寒く、薄手のフリースを使いました。


ルート
歩いた日 区間 GPS移動距離  備考
10月2日 戸倉駐車場-鳩待峠(バス)
鳩待峠-見晴(十字路) 10.1 第2長蔵小屋泊
10月3日  見晴(十字路)-段小屋坂-沼尻平-尾瀬沼-尾瀬沼ビジターセンター‐三平峠‐一ノ瀬休憩所 11.3㎞
一ノ瀬休憩所‐大清水(バス)
大清水‐戸倉駐車場(バス)  

詳しい行程は山のエキスパートS君のYamaRecoをご覧ください。
 1日目 鳩待峠-見晴(十字路)
 2日目 見晴(十字路)‐一ノ瀬休憩所

尾瀬歩き地図
 



 GPSログをGoogleEarthでツアーする方法

戸倉駐車場から鳩待峠 バス移動
 

利根郡片品村戸倉の片品川東岸に在るかなり大きな尾瀬第1駐車場に車を置いて、 片品川を渡って関越交通のバス停からバスに乗り込み出発です。
県道63号線、通称奥利根ゆけむり街道を登り、途中から県道260号線に入り鳩待峠までいきました。道はかなりの急登でヘアピンカーブなどもありましたが、順調に進みました。

鳩待峠から山の鼻まで
 

コース距離:3.1㎞  所要時間:1時間

鳩待峠バス発着所でバスを下り、少し登ると鳩待峠休憩所がありましたので、ここで身支度を整えていよいよ歩きのスタートです。

地図の高低図をご覧になると分かりますが鳩待峠から山ノ鼻までは高低差180mほどの下りです。




至仏山遠望
ハトマチ沢を少し過ぎたところから見えた至仏山。
至仏山は標高2228mで、森林限界は1700mほどです。燧ケ岳のそれは2200m、北アルプスは2500mほどです。至仏山の森林限界が低いのは地質が蛇紋岩で蛇紋岩は植物の生育に適さない為と云われています。
山頂付近をズームアップして撮影した写真が左の写真です。大きな岩が多数露出しているのが見えます。


途中に在った露岩。

尾瀬ヶ原に流れ込む川上川に架かる橋を渡って山ノ鼻に到着。


山ノ鼻から見晴(十字路)まで
 尾瀬ヶ原を歩く

多くの方が『尾瀬』と聞くと 尾瀬ヶ原 の風景を思い浮かべるのではないかと思います。
日本最大の山岳湿原(約849ha)に木道が続き、周囲を2000m級の山に囲まれた風景は非現実的な印象を受けます。

研究見本園
コース距離:1.1㎞   所要時間:20分

山ノ鼻のすぐそばに在る一周1㎞ほどの湿原です。木道以外は人の手が入っていない尾瀬の自然のエッセンスを見る事が出来ます。




山ノ鼻から牛首分岐
コース距離:2.2㎞     所要時間:45分

燧ケ岳に向かい進む


振り返ると至仏山


逆さ燧の池塘




歩荷(ボッカ)
尾瀬は環境を守るため車は入れなので、山小屋への食料は歩荷の方達が運んでいます。
私は10kgにも満たない荷物でゼイゼイ言いながら歩いていますが、歩荷の方達は数10kg、時には100kgにもなろうかと思われる荷物を背負って歩きます。歩荷の方達のお陰で山小屋で新鮮な野菜や肉などの食事、そしてビールを飲むことが出来ます。有難い事です。


牛首分岐
竜宮・見晴と東電小屋への分岐点。ベンチがしつらえてあります。
写真右の小高い丘が牛首です。


牛首分岐から見晴(十字路)
コース距離:3.7㎞     所要時間:1時間10分

草紅葉の湿原を歩きます。




獣道
木道の下を見ると鹿と思われる足跡。草原を横断して獣道が続いていました。この湿原を歩くのは人間だけではなく多くの生き物が生きているという事です。


写真左:花の季節は終わりましたが水芭蕉です
写真右:竜宮小屋


沼尻川
竜宮小屋のそばを流れています。尾瀬沼の沼尻から流れ出て幾多の沢の水を集めて流れています。沼尻川は群馬県と福島県の県境でもあります。
そして東電小屋付近で只見川に合流し、合流地点は群馬・福島・新潟 3県の境界です。只見川は福島県と新潟県の県境を流れ平滑ノ滝、三条の滝を経て、映画にもなった『ホワイトアウト』の舞台 奥只見湖に流れ込みます。更に奥只見湖から会津盆地を流れ阿賀野川と合流して新潟県を流れ日本海に注いでいます。


沼尻川を越えると燧ケ岳も大きく見えるようになり、見晴(十字路)の山小屋が見えてきました。


第二長蔵小屋
今日の宿泊地です。
この数日前に台風が2つ発生していて、ひとつは台湾付近もう一つは太平洋沖にありました。幸い台風は反れましたので私達は気持ちよく歩く事ができましが、小屋の担当者が言うには『前々から予約頂いていた方達もキャンセルが多くて、今日は皆さんだけの宿泊です。』との事で貸し切り状態で宿泊しました。


歩荷の方達が運んでくれた食料で作られた夕食を頂きました。勿論ビールは必須です。

2日目
見晴から一ノ瀬休憩所へ


出発前に第二長蔵小屋の前で記念撮影です。
プライバー保護の為とお見苦しい写真をお見せするのも気が引けるので、顔はぼかして掲載しました。
二十歳前に知り合った頃はイケメン揃いでしたが、今となっては年齢相応の風貌になりました。

段小屋坂

下の高低図をご覧頂くと分かりますが、見晴の第二長蔵小屋から沼尻平手前の白砂湿原付近まではこのルートのなかで一番長く続く登坂です。



イヨドマリ沢
沼尻川に合流する沢です。
『イヨ』は魚のことで、とりわけ鮭を示す古語あるいは方言らしいです。
『ドマリ』は "止まり" で、魚とりわけ鮭が遡上出来ない場所という事のようです。イヨドマリ沢が沼尻川と合流する付近の本流に魚止めの急流があるのでイヨドマリ沢と言われているそうです。漢字表記すれば『魚止まり沢』という事だと思います。

段小屋坂
地理院地図にはイヨドマリ沢を越えた付近に 『段小屋坂』 と表記されています。深い森の中に登り坂が続いています。

白砂湿原
段小屋坂を登りきると、一転して白砂湿原が広がります。




尾瀬沼
沼尻平
尾瀬沼の西端です。ここから沼尻川が流れ始めます。
団体が沼尻の休憩所で休んでいました。台湾からのツアーだそうです。
かつて尾瀬は日本では憧れの地という印象が強かったですが、今では海外からツアーで訪れるようになってのかと少々驚きました。







尾瀬ビジターセンター
尾瀬沼の東岸です。N君が沸かしてくれたコーヒーを頂いて体力回復です。それにしても山で温かい飲み物を口にすると格別に美味しく感じます。
コーヒーを飲んでいるうちに朝からの雲が切れ青空がのぞきました。


最後の歩き

ビジターセンター → 尾瀬沼山荘 → 三平峠(尾瀬峠) → 一ノ瀬休憩所

尾瀬沼越しに見える燧ケ岳




写真左:尾瀬沼山荘
写真右:三平峠(尾瀬峠)


一ノ瀬休憩所への下り坂
下の標高図をご覧頂くと分かりますが、この区間は最も急な坂道です。
登山は登り道より下り道の方が危険と言われますが、木道が敷設してある所は良いのですが、露岩だけの道は怖いと思う区間も在りましたし、膝が笑いました。
注:膝が笑う=脚の疲労が蓄積して、特に下り坂で膝がガクガクする現象




金山沢
金山沢は片品川に合流して沼田へと流れます。
片品川は赤城山の裾野を浸食し、ブラタモリ #31「真田丸スペシャル・沼田~真田は沼田でどんな城下町をつくった?~」でも紹介された、日本一美しいと云われている河岸段丘をつくりました。

こちらは、帰り道で昼食を摂った沼田市の『とんかつトミタ』です。
タモリさんと桑子さんもここで食事をした映像が放送されていました。
窓外に見える赤い橋は関越自動車道です。如何に深く・幅広い河岸段丘かお分かりになると思います。

一ノ瀬休憩所
ゴールです。正直に言いますが車が見えたときはホットしました。
山のエキスパートの二人はここから3㎞強離れている路線バスの発着所が在る大清水まで歩きたい雰囲気でしたが、私の脚がかなり疲労していた事もあり、シャトルバスに乗り今回の歩きは終わりました。


エピローグ
 

尾瀬を歩いたのは今回で5回目です。
最初は学生のときに兄弟と、会社に入って同僚と、結婚したとき妻と、そして子供達が小学生のとき、今回は学生のときから付き合っている同級生と定年後に、人生のそれぞれのステージで歩きました。
それぞれに想い出がありますが、今回は体力の減退を感じました。一応、街道歩きで長距離歩くのは自信があったのですが、平地を歩くのと、山道を歩くのでは使う筋肉が異なるのだと思います。

ですが、同級生4人で会うと、気持ちだけは20代にタイムスリップします。何を話すでもなく話して、なにがおかしい訳でもないのに笑い。気持ちだけは昔のままです。
ただ、4人とも酒をあまり飲めなくなっているのは、やはり年齢によるものだと思います。学生のときは、深夜まで酒を飲んでも次の日は、"普通"に授業に出ないでバイトをしていましたが、随分と弱くなったものです。

読んでいらしゃる皆さんは既にお気づきと思いますが、学生の頃に知り合った4人と言えば、学生のときに何をしていたか想像がつくと思います。勉強をすることもなく、それぞれのアパートに行き、酒を飲みながら、何を話したのかは忘れてしまいましたが、朝方まで話をしたこともあります。学業の専門書で得る知識よりも大切な多くのものを得た様に思います。
名誉の為に付け加えますが、一応4人とも卒業して、専門性を活かしてそれぞれの道を進み、社会人として定年まで働きました。
これからも、学生の頃の想い出とともに、この関係が続いてほしいと願います。


END

2024/10/21  作成


Column


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